過払いの状態を生んだ法律と任意の有効性

過払いの状態というのは過去に利息制限法を超える金利を利用していたケース、つまり出資法の上限金利である29.2%あるいはそれに近い金利での利用の場合を指します。利息制限法と出資法の二つの異なる法律が過去の貸付においては混在し、消費者金融などを中心に適用されていました。ただし、出資法の適用だけでは利息制限法を超える金利を貸し付けても良いということにはなりません。そこにはみなし弁済に該当する必要もありました。

みなし弁済の適用にはいくつか条件があります。貸金業法に基づく登録を受けた業者であること、利用者に法定の書面を交付していること、また利用者自体が任意で支払うことに応じたものであることなど条件付きで利息制限法を超える金利での貸付も可能とされていたのです。この成り立ちから生まれたのがグレーゾーン金利であり、過払いという状態です。みなし弁済の条件のうち、任意性については特に最高裁の判例でも注目された点です。

借りたい利用者にとって任意で認めたというよりも、半強制的なものであり、そのことが任意を否定するもの、すなわちみなし弁済の適用には当てはまらないという結果につながりました。このみなし弁済以外にも論点がありましたが、以降の法律改正につながり、現在は利息制限法に一本化され、過払いの状態は解消されています。利息制限法や出資法、さらには貸金業規制法もあり、この法律の中にも任意で支払った利息が利息制限法を超える場合でも一定条件を満たせば有効とする一文が盛り込まれていました。複雑な法律の仕組みと例外規定、そこに高金利の原因があり、過払いという状態がつながっていきました。