過払いが発生しているのかどうかが分からない場合に、貸金業者に取引の履歴を開示してほしいといった場合に、開示してくれるのでしょうか。貸金業者としては、開示することによって返還させられるというリスクが大きくなるのですから、開示しない方が良いと考えるのは自然なことです。かつては、開示請求に応じない貸金業者は多くありました。そのため、過払いの返還請求がうまくいかないこともあったのです。
しかし、現在のところはたいていの貸金業者が応じてくれます。このようになったのには2005年の判決が影響しています。2005年の7月19日に、最高裁判所が取引履歴の開示について、その義務があるかどうかを示したのです。貸金業者は開示する義務があることがここで示されたと言えるでしょう。
最高裁判所の判断ですから、その後はすべての貸金業者に対して開示の義務があると考えられ、現在ではほとんどの業者が開示してくれるようになったのです。ですから、取引履歴が分からなくても、過払いの請求はできます。ただ、快く開示に応じてくれるのかどうかと言うのは分かりません。おそらく開示したくないと考えるのは自然なことでしょう。
そのたねに、開示にかかる時間が長くなることもあります。数週間くらいならまだましな方で、何ヶ月もかかってしまうこともあります。時間はかかるとしても開示には応じてくれますから、過去の取引について詳しく分からないような状態でも、請求する価値はあります。